書評『「いつものパン」があなたを殺す』その2

グルテンという成分を理解したところで、では私達の生活をどう変えるべきか、です。科学的な解説と、生活習慣の提案のバランスが非常によい、この本の素晴らしいところですね〜!

「いつものパン」があなたを殺す
医学博士 ディビッド・パールマター、クリスティン・ロバーグ
順天堂大学大学院教授 白澤卓二(訳)


グルテンを含む食べ物とは?

砂糖やアルコールの誘惑は暴力的ですらありますが、グルテンたっぷりの小麦由来の食べ物(パンはもちろん、ラーメン・パスタ・ケーキ、、、!)も魅惑的です。グルテンはアレルゲンなだけでなく、人を上機嫌にする作用もあるそうです。グルテンを摂取すると脳にモルヒネ様の成分を生じることが報告されており、それがグルテン依存の状態につながっていると。確かに、フワッフワのパンの誘惑、かなりの強敵です。

私は3人目の妊娠初期、無性にクリームパンが食べたくなり、デパ地下を徘徊して理想のクリームパンを探し求めた時期がありました。あれも砂糖&グルテンの魔力か??

本著によると、現在の穀物は1万年前の人類が食べたものと全く異なるのはもちろん、品種改良により、わずか数十年前と比較してもグルテンが40倍も多く含まれているそう。さらに、白い小麦や加工食品だけでなく、全粒穀物などいわゆる「健康によい」とされる食品にも、グルテンは含まれています。

グルテンを含む食品は、例えば

  • 小麦、大麦、グラハム粉、麦芽などの穀物やデンプン
  • ビール、揚げた野菜、シリアル、ハムなど、アイスクリーム、マヨネーズ、醤油、プロセスチーズなど、加工食品、揚げ物系

さらには、グルテンは肌からも吸収するそうで、

  • 化粧品、医薬品、シャンプーなど

に含まれるグルテンも、脳に悪影響を及ぼします。

グルテンを含まない穀物としては

  • ソバ、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモなど

読了後「これからはソバだ!」とスーパーで物色したところ、どのソバも原材料の筆頭は小麦粉、、、でした、恐るべし。

炭水化物を減らし、良質な脂肪を増やす

グルテンフリーだけでなく、炭水化物、糖を減らし、オメガ3脂肪酸、タンパク質が豊富な食生活に変えること、これも脂肪の役割、炭水化物の危険性などとともに説明されています。このあたりは多くの専門家が指摘しており、関連本も多いですが、本著では、コレステロール低下薬「スタチン」のリスクについての章が特徴的です。コレステロール値を薬でコントロールする、といった対処療法的な治療を批判し、正しい食生活で自分の体をリセットするべきであると、力強く説かれています。

「糖化」とは?

グルテンフリーにするだけでなく、炭水化物・糖質を減らす理由、それは糖化を防ぐため!!です。糖化とは、糖分子がタンパク質、脂肪、アミノ酸に結合すること。これによりタンパク質の繊維が歪められた、終末糖化産物(AGEs)が出来てしまいます。繊維が歪む、ということは、肌であれば、シワやたるみ、変色などの老化現象に繋がります。さらに、糖化は、酸化や炎症とも相互に関わっていて、例えば、タンパク質が糖化される→活性酸素が増える→酸化ストレスで細胞がダメージを受ける→炎症→また酸化・・・。

私は、酸化・炎症・糖化の老化トライアングルを、抗酸化サプリで断ち切る、のが今直ぐ始められる老化予防、と思って実践していますが、食生活の改善にも本気で立ち向かわないとダメですね。自炊自炊・・・。

さて、次回で「いつものパンがあなたを殺す」の書評も最後。日々の生活にダメ出しされまくるので、なかなか読了するのにパワーのいる本ですが、いよいよ実践編です!

「いつものパン」があなたを殺す
医学博士 ディビッド・パールマター、クリスティン・ロバーグ
順天堂大学大学院教授 白澤卓二(訳)




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