”自己満足”読書!書評「あなたがピアノを続けるべき11の理由」

ピアノや語学学習のような、型に向かって積み上げてく学びが生来好き。「ピアノを止める」と人生で思ったことは一度もないなぁ。ピアノが家になかった20年も「やめた」のでなく「弾いてない」だけという感覚でしたし。

さて本書。各界の11人に「ピアノを続けるべき理由」を聞いたエッセイ集。ヤマハの出版部門だけあって、立ち位置が明確でいい(笑)。「ピアノはやめない」派の私が読んだら、気持ちよくなるに決まっている予定調和な読書、それがよいのです。

あなたがピアノを続けるべき11の理由(Amazon)

あなたがピアノを続けるべき11の理由【電子書籍】楽天Kobo電子書籍

 本著にたどり着いたのは、今年の”自己満足”読書第一位の「ピアニストの脳を科学する」著者、古谷晋一氏が参加してるから。(”ピアノを弾くのは脳に良い”とか”好きな音楽を弾くと脳内に快楽物資(ドーパミン)が分泌されるから気持ち良い”とか、ピアノ好き必読の「ピアニストの脳を科学する」。お奨めです。

登場する11人は、ピアニスト・ピアノ指導者の他、ピアノを弾く哲学者、落語家、数学教諭など。

まずは「やめる」という概念をやめようという話

私と同じ「やめる」「やめない」ではないという方のご意見はこちら。

ピアノは続けるべきかやめるべきか、二者択一のように考えられたりしますが、僕は「両方やればいい」と思います。つまり、本当に弾きたいときに弾けばいいのです。やめると続けるを両方やるのです。忙しいとき、大変なときに無理矢理続ける必要はありませんが、時が来ればいつでも復帰できるということも知っておくことが大切です。

(小原孝 ピアニスト)

何事も、挫折していけないことなどない。ピアノはいつやめてもいいし、いつ戻ってもいい。

(略)目標ができたとき、「練習」は無味乾燥なものではなく、自分にとって意味のあるものになるでしょう。

(秦万里子 音楽家)

そうそう、弾きたいから弾く、それで良いのです。

そして、やっぱり説得力抜群の古谷さん

古谷晋一氏は音楽演奏科学者。「音楽演奏科学」という分野=ピアノ演奏における脳と身体の関係性と働きについて科学的な理解を深める研究を開拓している先駆者です。

ピアノ弾いてて感じる気持ちよさ。楽譜を読む、両手別別に動かす、いろんな音が聞ける、といったピアノのスキルが生かされてるな〜とぼんやり思ってことを実証してくれたありがたさ、やはり古谷先生!

ピアノを自分で「弾く」方が「聴く」だけよりも、音を捉える脳内の神経細胞(聴覚機能)の働きが良くなる(略)音楽の様々な表情を聴き分け味わうことは、演奏する人だけに与えられる特権なのです。

ピアノを自分で「弾く」方が「聴く」時よりも交感神経が活発化するという(略)演奏による特別な感動は、演奏することによってしか味わうことはできないのです。

ピアノを弾くことがほかの能力の向上につながることです。一つはIQ(知能指数)の向上です。(略)二つ目は、外国語の学習能力です。これはピアノのみならず、音楽教育全般に言えることです。

(音楽演奏科学者 古谷晋一)

など、さらなる研究の進展に期待です。

文化によって色々な捉え方があるのね、という話も

日本でも、ピアノにはポジティブなイメージはありますが、大人が趣味でやっている程度では、話題になったり、得したりする実感はあまりないかなー(だから、こういう本読んで自分で自分を認めているのかも)。

アメリカとヨーロッパでは、このような見方もある、という話もありました。歴史・文化・教育などが絡みあっているし、元々、ヨーロッパの文化だし。

アメリカでは長期間にわたって一つの事を続けるっと、非常に高く評価されることが挙げられます。実際に、大学入学に有利に働くのです。勉強の成績が良くても、それはたった一つの見方に過ぎないと判断されます。しかし、一つのことにな長い期間挑戦し続け、自分を向上させる力を持っていることが示されると、それはその人のすばらしい資質として見なされます。ですから、ピアニストを目指す人だけでなく、エンジニアや政治家になりたい人もサンディエゴのあらゆる学生たちが課外活動にピアノを挙げるのです。

(ジェーン・バスティン ピアノ指導者)

ヨーロッパの人々はピアノや音楽を学ぶことをどのように捉えているかというと、人間としての知識や教養を高めるものとして考えているのです。(略)誰でも豊かな人間になろうと思えば読書します。音楽もそれと同じです。自分を高めたい、そして文化を担いたいという一心で、みなピアノを習っているのです。

(黒田亜樹 ピアニスト)

そうだ!”ヨーロッパでピアノレッスン”も「やりたいことリスト」に入れとこ!

感情をピアノで表現する

子どもの頃からずっとやってるからピアノだけど、今の方が自分の感情は多様なはず。憧れるのは、この境地。

心の中の哀しみや喜び。それは楽譜に書かれている音楽を、読書するように紐解いていくことで、豊かに広がる感情です。(略)作曲家の描いた物語を、まずは自分で感じ、探すこと。そして自分の心に湧き上がった動きを捉えて、ピアノを使って音に出してみること。それこそがとても大切で、演奏することの楽しさなのです。 

(ルイ・レーリンク ピアニスト)

音楽とはそのように、曲を作った人の思いが込められた非常に強いエネルギーを帯びたものです。そうした曲を私たちがピアノで弾くということは、何百年も前から人間が築いてきた歴史や文化に、自分もつながるということです。

競争社会における実績や、効率化といった言葉に惑わされることなく、音楽と向き合い、作曲家の心、自分の心と向き合いながら、自分の想像の幅を広げること。それは専門教育を受けるか受けないか、プロになるかならないかといったこととも、本来無関係なことなのです。

林達也 作曲家・ピアニスト

いや〜珠玉の名言集!楽しかった。

追記:著者に会う、という楽しみ

中川政七さんにリアルで会うも最近達成できたし、次は、古谷晋一さんとCCCの増田社長に会えるチャンスにアンテナを立てようと思います。古谷さんには、論文だけでなくぜひ次回作もお待ちしております!!

*古谷さんの講演予定はご自身のWEBサイトでチェックできそう。学会講演も面白そうですが、神奈川県立音楽堂のトークみたいな雰囲気のがいいなぁ。

あなたがピアノを続けるべき11の理由(Amazon)

あなたがピアノを続けるべき11の理由【電子書籍】楽天Kobo電子書籍

<過去の関連投稿>

書評「ピアニストのためのカラダの使い方バイブル~アレクサンダー・テクニークを取り入れながら」

書評「ピアニストの脳を科学する」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。