リサーチやライティングの仕事で、仕事関係の資料を読み込む時間が増え、さらに、資格の勉強もしていたので、2020年はひと月に数冊しか読まなかった。その程度の冊数では、ときめく出会いも少ないし、本読みにとっては「全然、本読んでない!!」という欲求不満がたまる。
しかしです!年末に向け資格試験も無事終わり(中小企業診断士試験に合格しました!!)、読書量をどうしても増やしたい。本について語る語彙も増やしたい。
ということで、「今月読んだ本」まとめ形式にチャレンジです。毎月できるか?!
①バンクシー 壁に隠れた男の正体 BANKSY THE MAN BEHIND THE WALL
現在、大阪で開催中のバンクシー展、娘の付き添いがてら、秋に見に行ったのですが、すごくおもしろくて!ストリートアートながら超有名になった匿名アーティスト、バンクシーの大規模な企画展です。
すぐ上書きされたり、建物自体がなくなったりと短命なストリートアート=グラフィティ、ちゃんと見るのも考えるのも初めてです。ストリートという”場”を取り巻く社会・歴史・人々・政治など様々な背景をすべてひっくるめて見る、というのが、額縁に飾られ、富裕層の邸宅を飾る絵画とは、全く異なる鑑賞体験でした。
客層も若者が本当にたくさん。国立やら公立やらの企画展とは違う!バンクシーの人気を実感しました。
展覧会の興奮のまま、もっと知りたい「収集心」がウズウズして読んだのがこの本。”匿名アーティスト”という取材困難な対象を丹念に追いかけた良書です。
イギリスのブリストルという地方都市、グラフィティをうまく使って治安の悪いエリアの雰囲気を変えることに成功し、今では観光名所にもなっています。若きバンクシーもそこからスタートしたそう。
バンクシーはもちろんインタビューには応じないけれど、グラフィティを取り巻く人々への取材は豊富、たくさんの印象深いエピソードがありました。特に、驚いたのは、
グラフィティ(落書き)は、破壊行為・迷惑行為でありながら、描き手にとって仲間内に自分の勇気や胆力を誇示する意味があり、それにより、喧嘩や抗争などの暴力行為やもっとひどい犯罪行為に至らずにおさまっている、つまり、グラフィティにより救われている人たちがいる
ということ。そんな切実な動機があると思うと、道端の落書きを見る目が変わりますね。
まぁ、とにかくバンクシー展がおもしろかった、ということ!
②イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き
昨年、ニューヨークのデザインファームの、なかなか高額なオンラインセミナーを受ける機会がありましたが、なんというか、その他のセミナーとは時間の流れが違う、ゆったりとした佇まい、独特の空気感でした。
この本も、その数時間を思い起こす読み心地。Takramというデザインイノベーションファームの”デザインエンジニア”田川 欣哉氏の著書。装丁も素敵。
テーマはシンプル、「ビジネス(B)」「テクノロジー(T)」「クリエイティビティ(C)」を統合するスキルセット=BTCスキルを目指そう!!というもの。実現できるかはともかく、わかるわかる!と読み進めました。
私自身、言い方色々ありますが、
- いろんな分野をちょっとずついいとこ取りするポートフォリオワーカー
- 生業を複数もつ越境人材
そんな毎日を過ごしたいので、「ビジネス+クリエイティビティ」をもっと意識するのは、とても楽しそう。
Takramという会社、錚々たる大企業がクライアントのその筋では有名な企業だと思うのですが、初耳でした。Podcastを毎週2本発信している(「他とは違う」感!)ので、最近聞いています。J-waveな感じが懐かしい…
③たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング(MarkeZine BOOKS)
元P&Gのマーケターの皆さんには、本当にお世話になっていますが、著者の西口 一希氏もそうでした!CM含むマスマーケティングでの戦略構築って、フリーランスになると、なんだか遠い世界になった気がしていたのですが、いまや動画広告はかなり気軽な存在ですし、総合的に考えられるようにしとかないと。
という気持ちで手に取りまして、実践的で大変勉強になりました。あと3回は読みたい。
この2冊は、中小企業診断士の試験勉強で、私が獲得した新しいスキル「財務諸表の読み込み」のおかげで、読書分野が拡大した証です。
合格も嬉しいけど、集中してテキスト読んだり問題解いたりしたあと、新聞や本を何気なく読んだら、「前よりわかるじゃん、私!」ってなるこの感覚。勉強っていいなぁ〜。大学受験後に、洋書が読めるようになってうれしかったことを思い出しました!