自分の育児を経済学の観点から見つめ直す1冊「子育ての経済学 愛情・お金・育児スタイル」

統計・分析的な解説が多めで”学術書”感があるのですが、そこをなんとか乗り越えて、子育て中の私たちこそ、ぜひ読みたい良書!

子育ての経済学

経済格差が現代の育児スタイルを変えている

“どんな親になるかは、その社会の経済的インセンティブで決まる”という研究をまとめた本です。「どうやって育てるか」という方法ではなく、「どうしてそういう育て方になったのか」という理由を、国別、文化別など、データをいろんな切り口で分析して追求しているのですが、いや。めっちゃおもしろいー。

親は、子供が将来住むことになる社会に備えるために最善を尽くそうとしている

親は、先々の困難に備えさせるために、子供の価値観と行動を形作ろうとするのだ。

著者グループは、「経済格差が育児スタイルの主要な決定要因」だと結論づけています。「ヘリコプター・ペアレント」など、子どもの人生に深く干渉し関わる親が増える社会は不平等(例えば、最終学歴によって収入に大きな差が出るなど)であることが、データで明らかになったのです。

本書では、経済格差のほか、文化や宗教、学校制度など様々な制約が、親の育児スタイルの選択にどれくらい影響を与えているかを、世界中、また過去から現在に至る育児の状況を紹介しつつ、丁寧に解き明かしています。

日本の子育ての特徴は?

翻訳書ですが、日本についての言及も多いのも嬉しいところ。例えば、こんな感じ。

中国と同様に、日本でも、結果が将来を決める試験が、家庭で努力と規律を重んじる原動力になっている。我が子を成功へと導き、適切な価値観を育てるために重要な役割を果たしているのが、親、特に母親なのだ。

ただし子育ての価値観は、中国と日本では大きく異なっている。WVSデータによると、「勤勉」を重んじる日本人の親はわずか34%と、中国の90%の数値をはるかに下回っている。

この違いの主な理由は、すでに述べたように日本が中国ほど不平等な社会ではないということだ。

東アジア全体の傾向と、日本独自の特徴などが、世界でどのように位置しているのかを俯瞰できます。

著者の個人的経験を深堀りした研究

著者は日本語版序でも著者が書いてある通り、この本は二つの基盤で構成されています。それは、「研究」と「世界の子育てに関する個人的な経験と知識」です。

著者2人とその妻の4名は、ドイツ、イタリア、スペイン、米国と異なる国で育ち、故郷を離れて子育てをしています。研究者としてのリサーチや学術的知識を、個人の経験と関連づけストーリーとして語るのは、研究者の著書としては珍しく感じますが、そこが本書の秀逸さでもあります。

分析で得られた知見だけでなく、著者の実体験も含め各国の育児のエピソードが例として非常に的確、しかもわかりやすい。データの説得力がググッと増し、読み物として面白くなっています。

自分の子育てが、何に制約されているのか、何を不安に思ってこの行動をしているのか、色々冷静に客観的になれる読書体験でした!

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