ニュースリリースから企業のPR戦略に遡っていくのが好きなのですが、この本も同じような感覚で、とても面白かった!マーケティングとは、”モノを売るための仕組み”なので、たとえ聞きなれない専門用語で、上流の戦略が説明されていたとしても、全ては、私たちがモノを買う身近な出来事につながっています。それを、ものすごくわかりやすく言語化してくれる本です。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
著:永井孝尚
例えば、第1章「腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?」で、”バリュープロポジション”とはなにかを説明していますが、発端は、本章タイトルそのままの疑問からです。
「正確な時を知る」という価値はコモディティ化し、腕時計をする人は激減した
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それにもかかわらず、腕時計各社は広告にお金をかけている
という謎ですね。で、腕時計について考えながら、出席した同窓会で友人たちが、様々な”腕時計”を使っているのに気づきます。
- 体力を強化する=ジョギング専用ウォッチ
- 安全に登山する=登山専用ウォッチ etc…
腕時計業界では、「正確な時間」とは全く異なる、新しい”お金を出す「理由」”の創出に成功し、新市場ができているのです。これは、
お客様がほしいと望み、かつ自社だけが提供できるもの、つまり、これがバリュープロポジションです。これを考え抜き、ライバルのいない新市場を作り出すことができたのです。
腕時計のほかにも、セブンイレブン、ブックオフ、ベンツと有名企業の事例でが続き、とにかく”わかりやすさ”が素晴らしい!!
著者のモットーは
専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングの本質を伝えること
だそうで、確かにこれだけシンプルにわかりやすく話せるなら、講演やワークショップなどで大人気だ、というのも納得です。私も、”マーケティング理論にまで落とし込む”というのを、日々の思考訓練として意識していこう!と思います。