圧倒的な自己開示のパワー、1ページごとに涙…「オプションB」

「リーンイン」の著者として、女性のリーダーシップやワーキングマザーの代表としての印象が強い著者。

本著は、”最愛の夫の死”という人生を打ち砕く経験と向き合った著者が、本当につらい時期を支え、心理学教授とともに執筆した「逆境の乗り越え方」=レジリエンスに関する本です。

OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び

レジリエンスとは?

いくら食い止めようとして奮闘しても、逆境や不平等、トラウマは現に存在し、そして私たちは立ち向かうしかない。明日の変化を求めて闘うには、今日レジリエンスを育む必要がある。

 リーンインに続き、レジリエンスという言葉が、流行になるほど影響力を持った本書、導いてくれた心理学者との共著です。心理学の様々な研究成果、学術的なエビデンスを踏まえ、彼女のひたすらにプライベートな”半径1メートルの世界”を書き綴るとともに、挫折や困難を実際に跳ね返した人たちから直接聞いた多くのエピソードで構成されています。

つらいできごとが「自分ひとりのせいではない、すべてではない、ずっとではない」ことに気づけば、子どもも大人も立ち直りが早くなるこを、多くの研究が示している。ネガティブな出来事を、自責化、普遍化、永続化しない人は、うつになりにくく、状況によりよく対処できるのである。

これが、本書の言う「レジリエンス」=立ち直る力です。完璧な人生などありえず、誰でもなんらかの”オプションB”を選ばざるを得ない。本著は、そんな”オプションBをとことん使い倒せるようにするための本です。「もう一度息をつく」「自分への思いやりと自信を持つ」といった、回復のステップごとに1章ずつ読み進めていくうち、回復のプロセスを疑似体験しているような感覚になります。

と言う、冷静な感想はさておき、とにかく、エピソードが圧倒的にエモーショナルで、もう涙涙涙・・・なんです。

圧倒的な自己開示力、友だちのような親近感、エピソードを語る力量がすごすぎる。

なんというか、1行読んだだけで目の前に映像がパアッと広がって、その物語に引き込まれざるを得ない感じ。「リーンイン」でも感じましたが、著書のエピソードを語る力がとにかく圧倒的にすごいのです。例えば、本書冒頭は、このように始まります。

デーブに最後にかけた言葉は、「眠くてたまらない」だった。
 デーブ・ゴールドバーグと出会ったのは1996年夏、私がロサンゼルスに引っ越したときのことだ。共通の友人が、私たち二人を夕食と映画に誘ってくれた。映画が始まったとたん、私はデーブの肩に頭をあずけてコトンと寝てしまった。この子は僕にゾッコンだと思ったよー「シェリルがどこでもだれの肩でも寝る」のを知るまでの話だけどね。そういって人を笑わせるのが、デーブは好きだった。

この1段落だけで、デーブに好感を持たずにいられないし、著者=シェリルが身近な可愛い女の子に思えてきます。楽しい旅行の最中の突然の死、そして、それを子供たちに告げる時が訪れます。

こうして残りの人生が始まった。自分で選ぶはずもなく、覚悟の全くできていなかった人生。今も覚悟などできていない。想像もできないことが続いた。子ども達に、パパが死んでしまったのと告げた。 二人のの泣き叫ぶ声に、自分の慟哭が重なるの聞いた。

「最愛の夫の死を、こどたたちと共に乗り越える母」というのは、物語としては、ありふれたシナリオですが、ページごとに涙が溢れるほど読み手の感情が突き動かす文章になる、というのはどういうことなんでしょうか。翻訳の素晴らしさもあり、まるで親友の打明け話のような親密感、情景を想起させる描写のバランスが絶妙です。これが、自分を非常に客観的に見れていると言うことなのかもしれません。まさにレジリエンスの「自責化、普遍化、永続化しない」という要素の実践ですね。

夫の死、パパの死から一年後の様子として、こんなエピソードも綴られています。これも、かなり印象的。

デーブがなくなってまもなく1年という日の午後、息子の学校の音楽会に行った。うらやましがるのはやめようと、どんなに自分に言い聞かせても、わが子を見つめる父親たちのまなざしに、私たち家族が失ったもの、そしてデブが失ったもの、まざまざと思い知らされた。帰宅するとすぐ、泣きながら2階に駆け上がった。あいにくこの日はまだ仕事が終わっていなかった。そばにいた息子に、泣くのをやめてもう行かなくちゃね、と言った。すると息子は私だけを握っていってくれたのである。「そのままイケバいいよ。泣いてたっていいじゃないか。僕らに何が起こったのか、みんな知ってるんだから」。そしてこう付け加えた。「ママ、みんなにもたぶん泣きたいことがあるはずだよ。だからそのままでいいんだよ」。(

著者の心の動き、人間関係の変化、共通の体験を持つ人々との繋がり、といった「人間の内面」を探求していく本著。「女性の活躍」と言うテーマで、大きく仲間を広げた「リーンイン」と双子のような作品だと思いました。

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