”孤高の天才”という神話「POWER OF TWO 二人で一人の天才」

本著は、例えばジョン・レノンとポール・マッカートニー、アップルのジョブズとウォズニアックなど、クリエイティブ・ペア(創造的な2人組)たちの結びつき、人間関係による化学反応について理解しようとする試みです。

POWERS OF TWO 二人で一人の天才

”孤高の天才”の影に、歴史に埋もれたパートナーあり

孤高の天才という概念が、創造性に関する私たちのイメージを支配するようになったのは、それが真実だからではなく手頃な物語になるからだ。

”創造性に不可欠な社会的側面を、神話に頼らずにわかりやすく語る視点が1つある。それがクリエィテイブ・ペア(創造的な2人組み)の物語だ。

1人は孤高の天才として注目され、もう一人は歴史の影に埋もれていることが、例外というより新しい法則に思えてきた

著書は、自身と編集者との関係に思いを巡らせるうちに、創造的なパートナーシップ、人間関係の「化学反応」や「電気」と呼ばれるものの正体、そのような関係の本質について強い興味を持ったと言います。著名なクリエイティブ・ペアだけでなく、あらゆる分野の人間関係に、パートナーシップは存在します。

どの分野員も有名ゴルファーを支える無名のキャディーがいるが、その役割が世間の目に触れることはない。彼らの働きは、関係者にとっては計り知れないほど重要だが、めったに光が当たらないのだ。画家の影に隠れているのはテオ・ヴァン・ゴッホだけではない。画商や学芸員、額縁職人、助手など多くの人が、基本的には無名のままだ。


孤高の天才の文化は、多くの女性から本来ふさわしい名声を奪ってきた。〜比較的最近まで、創造性を評価される男性は、妻の努力のおかげで名声を手にすることも少なくなかった。妻たちは夫の研究助手や編集者となり、夫の名前を冠した会社の事実上の経営者として働いた。

このような複雑で、埋もれがちなクリエイティブ・ペアの関係を数多く比較した結果、本著は、ペアの関係を「邂逅」「融合」「弁証」「距離」「絶頂」「中断」の6つのステージに分け、それぞれのステージを章立て、多くの著名なペアの証言や豊富なエピソードで構成しています。

ペアに関する分析も簡潔で良く整理されていますが、本著の魅力は、素晴らし筆力で書かれている、著名なペアのエピソードや、それぞれの人物描写です。出会いの興奮や、息ピッタリの創造的な仕事風景、すれ違いの生じる様など、個性同士がぶつかり合う人間関係の輝かしさと息苦しさを、疑似体験できる、そんな読み応えです。

特にビートルズのジョンとポールの描写が圧巻

本著を象徴するのは、何と言ってもジョン・レノンとポール・マッカートニーの「ペア」でしょう。本著の冒頭数ページは、2人の曲作りの様子を描写した「序曲」となっています。

「声を張り上げていた2人は、悪ふざけを始めたときと同じくらい突然やめた」と、ディヴィスは書いている。「そして、静かに曲作りに戻った。」ジョンが歌詞を少し変えて歌い、「What do you see when turn out the light?(灯りが消えたら何が見える?)」に落ち着いた。その問いかけにジョンが答える「I can’t tell you, but I know it’s mine.(うまく言えないけど、僕だけが知っている)」

冒頭から最終章まで、ジョンとポール、二人の関係性が6つのステージを経て変わっていく様、そして変わらない様を追いかけています。ビートルズの曲を思いながら読む2人のエピソードは、すごく複雑で奇跡的で感動的で、、、この二人の描写部分は、本著の中でずば抜けて印象的でした。

組織を離れて、最小単位の「ペア」が身近に(実感!)

私の仕事であるフリーランスPRは、チームで仕事する機会も多くありますが、新規案件は、やはり1対1の関係性から始まります。フリーというのは、誰と仕事をするかということを自分で選べるということ、であります。当たり前のようでいて、「会社員には、誰と仕事をするか選ぶ自由はほぼない」という驚愕の事実を、今更ながら、やっと体感として理解しました。経験は大事、本当に大事。

ということで、今後ご一緒にお仕事する皆様とは、同僚でも、上司でも、取引先でもなく、「パートナー」という言葉がしっくりくる関係性を育んで行きたいな、と思います。

そして、「孤高の天才」サイドでなく「影に埋もれるパートナー」側が心地よい、と思ってしまう性分は、もう変わりようがないので、そんな自分と向き合いながら、なんとか「クリエイティブ・ペア」の片割れを求めて、今日も明日も、人間関係を広げて深めて行きたいです!と、突然の宣言(笑)


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