未来を学ばねば!の危機感獲得「イーロン・マスクの世紀」

日経新聞のシリコンバレー特派員として2013〜2016年の四年間を現地で過ごした兼松記者の著作。

イーロン・マスクの世紀

新聞記者という「プロ」らしい素晴らしい仕事

イーロン・マスクの手掛けるスペースXやテスラをはじめ宇宙、輸送、エネルギー、交通インフラといった広範囲のビジネスや、彼の哲学、経営手法について、綿密な取材でイキイキと語られていて、「イーロンマスクとは?」を解き明かすマスク入門書としても最適。さらに、アメリカ、特にシリコンバレーの起業家たちが、何を考えどう動いているのか、政府は?投資家は?といった全体の状況についても、マスクと同じくらいにページが割かれており、”イーロン・マスクを中心とした”という但し書きはつくものの、アメリカの新たなビジネスの最先端に触れることができます。

日経の記者という予備知識だけで読んだので、読み進むほどに、一体これだけの取材をどうやって行ったのか、驚きの連続。幅広い業種の企業について、素人にもわかりやすく客観的かつ横断的に書くというのは、まさに「新聞」の得意とするところで、ビジネスマンや学者の著作とは全く違う「プロ」の仕事として、非常に魅力ある一冊でした。

「未来を学ぶ」ことが不可欠な時代

さて、マスクという人の得体の知れなさ(そして、わかりやすさ)は、とても興味深いのですが、それとともに本著で描かれた世界は、まるっきりSF映画のようで、日本の日常生活との乖離に衝撃が大きい。。。読み進むうちに、時代に振り落とされてしまったような、足元が心もとない気分になります。日本では感じられない、この熱い動きを感じるためにはどうしたらいいんだろう。。。

エイムズ(NASAのエイムズ研究センター)の敷地内にはグーグルなどの支援の下、未来学者レイ・カーツワイルらが創設したシンギュラリティ大学もある。宇宙開発や微生物の活用などの最前線を担う研究機関で、未来を学ぼうと多くの企業幹部が研修に訪れる。

と本著にも書かれているように、これだけスピードの早い状況なので、これまでよりもっと「未来を学ぶ」という事を真剣に考え、時間を割くべきであるという危機感が、本著で得られた一番の収穫です。

天才の近くにいる、という事

本著には、イーロン・マスクのような猛烈な起業家に共通する気質として、

科学者の頭脳と、ボクサーのような凶暴な闘争心

と表現、まさにアイアンマンのトニー・スタークだ、とも書かれています。周りの人間を押しつぶすほどの圧力で、常人以上の働きを絞り出し、全体として驚異的な成果を生んでいく。同時に、目が眩むようなまばゆいストーリーを語り周囲を魅了していく。「天才と働く」・・・については、規模は違えど、既視感があります。自分の人生を、例えひとときでも捧げるほどの価値あるストーリーがこれから現れるか?あの”圧”ある世界に身を置く覚悟が私にあるのか? ゾクゾクしますね。

マスクやベソスはフロンティア開拓という現代の「神話」を再生産しようとしている。

GAFAやテスラとともにある現代を生きる者として、持続可能な地球を次世代に渡せるよう、考えながら楽しみながら、進んでいきたいです。

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