”伝える”が仕事の人、分厚いけど読もう!「ザ・レトリック」

「伝える」ことの奥深さを、とことん論じる1冊です。エピソード多く、軽めの文体ですが、中身はずっしり、なかなか終わらない500ページ超。

THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術

古代ギリシャやローマ時代に遡るレトリックの歴史

「伝える技術=レトリック」の全部を本著で網羅したい!という著者の執念が詰まった分厚さ。とっつきにくさはないのですが、とにかく30章もあるので、読んでも読んでもまだ続く。読むだけではなく、実践しては読み返し…とマニュアル的な使い方をしたい本。

レトリックは3000年も前からある伝える技術=説得術です。辞書的な意味は「言葉を使って影響を与えたり説得したりすること」だそうですが、著者が本著で強調しているのは、怒りの感情を掻き立てずに会話や議論をすること、そのためにレトリックを学ぶべきということです。

本著では、アリストテレスやキケロなど、歴史上の賢人たちが残した技法などにも遡りつつ、人の心理に即した「伝え方」を、ひとつひとつ解説して行きます。例えば、パート1『「攻め」の伝える技術』では、

  • 聴衆と同じ価値観をもっているように見せる
  • 決断するときは、未来形を使う

といった技法が数十種類も紹介されています。ギリシャ時代から受け継がれてきた「ロゴス」(論理を使った技法)、「エートス」(語り手の人柄を使った技法)、「パトス」(感情に訴える技法)を使った解説は、何千年も変わらない人間心理に基づく考え方として、説得力あり、新鮮でした。

ロゴス、エートス、パトスは、聞き手の脳、直感、そして心に訴えかける。脳は事実を見極め、直感は相手が信頼できるかどうかを探り、心は行動を促す。効果的な説得には、この3つが欠かせない。

また、過去の技法だけでなく、TED式プレゼン、オバマ元大統領やトランプ大統領など現代の聴衆を動かす演説手法、さらに家庭での夫婦や親子の会話など、様々な事例やエピソードをレトリックの技法として分析し、実践の仕方を提案してくれます。

レトリックを学ぶこと=議論する能力を取り戻すこと

言葉の奥深くに潜んでいる力や、その裏側にある動機を理解できるようになる。〜略〜レトリックを使えばあなたの論点を聞き手にわからせることもできるし、世界だって変えらえる。

レトリックは、議論で勝ったり、人を操るための技術ではなく、賢く議論をしたり、楽しく説得しあったりすることで、互いの絆を深めることができ、「世の中をひとつにする」ことができる、と本著では語られています。

著者がレトリックについて語る内容は、「PR」に必要な「伝える力」「人を動かす力」を考えることそのものです。ベネフィット、インサイト、ニーズなどなど、伝える相手のことを考え抜くことが必要なコミュニケーションの仕事をするにあたり、本著の内容を深く読み込み、実戦に当てはめていくことは、非常に勉強になりそうで、ワクワクしております!

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