”生業”をいくつか持って、島で暮らす「地域×クリエィティブ×仕事:淡路島発ローカルをデザインする」

淡路島で”仕事”をつくる「淡路島はたらくカタチ研究島」の取り組みを中心としたプロジェクト紹介。

地域×クリエイティブ×仕事:淡路島発ローカルをデザインする

このプロジェクトは、2012~2015年の間、デザイナー、ファシリテーター、料理家など島内外の講師による講座を実施し、「農と食」「観光」をテーマに、島ならではの仕事をつくり出しました。本著は、中心となったスーパバイザーや、プロである講師、受講した島の人や、移住してきた人など様々な視点で、「仕事を作ること」について語られていて、語り手の多様さが、特徴的です。どうやって淡路島で”しごと”を作ったか、島で働きながら生き流とはどういうことか、どのエピソードも、思いがあふれてきます。

仕事は一つではない、生活と仕事を切り分けない”生業”

島の人は昔から、一つの”仕事”ではなく、米や野菜をつくり、時には魚や海藻をとり、ものづくりをしたりと、複数の”生業”(なりわい)を持って暮らしてきました。一つ一つは小さな仕事でも、複数あれば稼ぎは増える、不漁や不作に耐えられる、など、様々な利点があるでしょう。このプロジェクトでも、”くらし”と”はたらき”の垣根がない島の感覚に魅了され、都市から移住してきた例も多いそうです。

「自分が何者か」を宣言する!

その一方で、「講師の視点」で登場する”青木将幸ファシリテーター事務所”の青木さんは、”自分が何者か”を明確にし、宣言することの大事さを、下記のエピソードで受講者に伝えたそうです。

当時、会議のファシリテートだけでは食っていけない状況で、そういう不安もあってら、「あれも、これも、いろいろできますよ」という名刺をつくった。そして、その名刺を配っている間は、あまりファシリテーターの仕事が増えなかった。ある日、名刺の記載をシンプルに「青木将行きファシリテーター事務所」一本に絞ってみた。そういう風に絞って名乗ったことによって、「ファシリテーター事務所を立ち上げた青木さん!」と、はじめて世間に認知され、少しずつ仕事が来るようになった

”生業”的な仕事と生活が近づくような生き方で、「自分が何者か?」のクリアな軸を持ち、それを中心に、やれることを増やして行く、そんな風に思う今日この頃でした。

自分の働き方を色々試している真っ最中なので、仕事の成果である「商品」そのものより、「働き方」に関する部分ばかり印象に残ってしまったのですが、このプロジェクトで形になった、淡路島ならではの「樹々のはちみつ」や「まちまち瓦」などの商品、さらに、「花美人になるツアー」「新シゴトビト探訪ツアー」「おいしい理由を探しにいこうツアー」など、今すぐ行きたい体験型ツアーの実例も豊富。 次に淡路島へ行くのが楽しみです!

”地域とブランディング”関連では、下記3冊もオススメです(過去投稿にリンク)

書評「プレイス・ブランディング」その①

書評「強い地元企業をつくる」

中川政七商店直伝のブランドの作り方「小さな会社の生きる道。」

地域×クリエイティブ×仕事 淡路島発ローカルをデザインする [ 服部滋樹 ]

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